2020年8月18日
(※時間の経過上、現在と異なる内容がある場合がございます。)
第2回目にお話を伺ったのは、北海道博報堂の藤山博史様です。
前回に引き続き、事前に用意した5つの質問にお答えいただき、その後、質疑応答や意見交流を行いました。ぜひご覧ください。
Q1.世の中で問題だと感じていることを教えてください。
藤山さん:ゴミが多くなって海が汚くなっていることが、普通に日常生活をしている上で感じる問題です。フェアトレードに関わりがある人だとよく聞く言葉の一つであるSDGsは今、浸透してきてると思います。これは「このままの生活を続けていたら地球に負担がかかりすぎて天変地異も起こり、人間が暮らせなくなってしまうから、地球に優しいことしていこう」という考えです。地球を考える中で、海はすごく広くて影響力が大きいので、それを守るっていうのはすごく大事なんだろうなと思っています。プラスチックゴミなどが減らないことは、すごく問題だなと思っています。
Q2.事業内容とフェアトレードとの関係性は何ですか。
藤山さん:弊社の事業ではフェアトレードの支援を行ってきたことはないという認識をしています。元々北海道の大学生を応援する活動を会社に許可を取ったうえで進めていている中で、様々な大学生と話します。その中で社会課題などを解決するという取り組みは、広告会社においてものすごく大事な活動だと思っています。タイミングよく今回のプロジェクトにお声かけいただき、社会課題を解決するお手伝いができそうだと思い参加しました。
Q3.私たちのプロジェクトに賛同いただいた理由をお聞かせください。
藤山さん:例年大通公園で実施されているオータムフェストでフェアトレードのブースを見たことがあります。このようなフェアトレードの取り組みの背景に興味があり賛同しました。
「食べることによってどうなるかという価値を伝えるっていうのが商品開発の役割」
Q4.「さっぽろ ゆめ結晶」に期待していることがあれば、お答えください。
藤山さん: 食べることによってどうなるかという価値を伝えるっていうのが商品開発の役割だと思っているので、それを支える担い手として商品をデザインして欲しいっていう期待があります。あと、サークルのみんなはアンフェアな待遇を受けている労働者に正当な対価を与えたいっていう想いからフェアトレードの取り組みをしていると思います。だからこそ買って食べることで、誰かをサポートしている意味合いをちゃんと理解してほしいです。買ってくださっているお客様や、これから買ってくれるであろうお客様に想いを感じてもらえるような商品開発を期待しています。
「フェアとかアンフェアとかない、そんな社会、世界を」
Q5.フェアトレードを通じて、どんな社会やどんな世界になることを望んでいますか。
藤山さん:その人が自分らしくいられる社会を望みます。実はフェアトレードってアンフェアなイメージも正直ちょっとあって、募金活動とかでも街頭に立っている子達ってお金貰ってやっているんじゃないかっていう疑心感があったり、募金したお金ってそのあと正しく活用されているのかなって疑問に思ったりします。だから、募金されたお金で本当に困っている子どもたちが幸せになったっていうところまでのイメージが共有できるような世界があるといいなあと思っています。本当はフェアトレードっていう言葉自体がなくなって、フェアとかアンフェアとかがない、そんな社会、世の中だったらいいなと思っています。
※以下からは、学生からの質疑応答と意見交流の様子を抜粋してお届けします!
学生:最後のお話でフェアトレードという言葉がなくなるといいっていうのは、私たち学生もすごく感じています。フェアトレードが目指しているところって当たり前だと思うので、そのような境目がなくなるようなシステムが普及するといいですよね。
藤山さん:その一つの手段としての商品を作るっていうことですね。今回の取り組み意外にも、いろんな手段があればいいですよね。
「北海道には、美味しいお魚あるよって僕のように道外から来た人に伝えたい」
学生:海の問題に関心があるという話ですが、北海道の海の問題とかはありますか。
藤山さん:個人的に感じる北海道の海に対する危機感は、「漁獲量の減少」です。環境変化による海水温が変化や人々のモラルの低下によるごみ投棄が増えたことで、魚にとって北海道の海が住みにくくなっているもしれないですね。北海道の海は寒く、魚が生きるために筋肉をつけているので、身がプリプリな魚が多いという印象です。北海道で魚のおいしさの入口を体験できないのはもったいないなと思っています。ぼくは道外から来た友人には「北海道には美味しい魚があるよ」って伝えています。
「さっぽろゆめ結晶が誰かの背中を押すスイッチになれば」
学生:確かにフェアトレードって広い海外との話というか海外と日本を繋ぐという広い視点でだけで考えていたんですが、地元の良さを伝えるというのもいいですね。フェアトレードとは脱線しているかもですけど、札幌とかだと同じマンションに住んでいても隣の人と全く接点ないですけど、地元に帰ると家の鍵も開けていて、もう誰でも入れるみたいな。私はそういった地方の温かさを個人的には都会に持っていきたいと思っています。たぶん都会の人も隣の人と仲良くしたいとか思ってはいると思うんですけど、でもそれが出来ない世の中になってしまっているのではないかと思います。そのような状況を改善したいなと思っているんですが、何かご意見とかあったりしますか。
藤山さん:地方の温かさ、共感します。仲良くしたいけどできないって、きっとみんな経験したことがあると思っていて、実は背中を押されたら、できちゃうという人が多いと思うんです。フェアトレードもたぶん同じで「いいことしたいけど選択肢ないからしてない」だけっていう人たくさんいます。そのスイッチとなるのがこのさっぽろゆめ結晶であったらいいなって思いますね。
「手軽さや安さではない、もっと見てほしい価値があるっていうのをどう伝えるかは大事」
先生:このさっぽろゆめ結晶を9月から販売するにあたって、どういう風にプロモーションしていけばいいと思われますか。
藤山さん:お金をかけて広く広告していくというよりも、取材をしてもらってニュースになったり、取り組みを賛同してもらった方がSNSで拡散する流れがいいんだろうなと思っています。さっぽろゆめ結晶を食べて改めて思ったんですが、このプロジェクトを知らない人が見ると、商品の形状的にドーナッツやさんのあのちっちゃいドーナツと比較されてしまいそうだと思いました。比較されたら値段で負ける。だからそこじゃないもっと見てほしい価値があるっていうのをどう伝えるかが大事なんだろうなと思いましたね。さっぽろゆめ結晶の競合はドーナッツとかクッキーじゃないので、そういう位置付けのようなものをどうやって伝えられるかを考えることが必要だと思います。取材されたりしたときに、伝えたい想いや、この言葉だけは絶対入れて欲しいとかっていうのがあれば整理しておくことは大事かなと思います。
先生:そこがやっぱり大事ですよね。ちなみに味の印象とかってありますか。
藤山さん:おいしかったです。じつは全くこの商品のこと存在を知らない妻に食べてもらったのですが、先ほどのお話の通り比較するのがその店のドーナツになってしまって。主婦なんでなおさらなんですけど費用対効果で判断されてしまっていました。なので、食べる前に価値をうまく伝えられればなぁと思いました。例えば「形状が不揃な理由は手作りだから」とか、「甘味は砂糖を使用しないのは自然な味わいを感じてほしいから」とか、その特徴をうまく設計して食べてもらったら、より美味しく感じるだろうなと思いました。味自体の純粋な味はもちろん美味しいんですが、より良く出来る要素が沢山あるなと思いました。
先生:最初の先入観って大事ですからね。貴重なご意見ありがとうございます。
藤山さん:商品の感じ方は食べる人にかかっていますが、見せ方は作り手のできるところだと思います。
学生:伝え方、見え方など普段聞けないような貴重なお話本当にありがとうございました。今後よりよいものにできるように参考にしたいと思います。
学生の感想
渋谷:今回のインタビューで印象に残っているフレーズは「価値が体現しやすい社会」という言葉です。その商品、そのサービスに何らかの価値が存在していてもその価値が体現化されていなければ非常にもったいない。それがマーケティングの肝であり最も難しい部分であるとこのプロジェクトや藤山さんとの対談を通して感じました。ただ馴染みのない価値観というのは人々には受け入れてもらいずらい、なので少しずつ世間体とのすり合わせをおこない、世の中にさっぽろゆめ結晶の価値を広げていく活動をしていかねばならない感じました。貴重なお話ありがとうございました。
三上:就活については難しい言葉で話そうとせずに、自分の言葉で誰にでも伝わるようにお話しするのが大事だということがわかりました。私はまだ少し時間があるので、まずはいろいろな分野にチャレンジしてみて自分の言葉で伝えたいと思うことの材料を探すところから始めてみたいです。
藤山さんが人事にいたとき、人を選ぶのに大事にしていたのはその人がその企業に合うかどうか、企業の雰囲気を乱さないかどうかということでした。今の時期はなかなか実際に企業にお邪魔して雰囲気を知るのは難しいと思うけれど、自分がいざこの会社がいいと思ったらまずはその企業の雰囲気をつかむことから始めるのも大事だなと思いました。
私は自分から選んだサークルや授業でも、嫌だなと思ったり逃げ出したいと思いながらやっていたりすることがあります。このつらい時期を乗り越えられれば何かが得られると思うけれど、すぐくじけそうになることが多いです。でも皆さんも同じ気持ちでいること、どんなにつらくてもどういう入り口であっても、将来その経験が繋がって生きるときがくるということを実際に藤山さんからお話しいただいて自分の勇気になりました。これからも自分がやろうと決めたものはくじけずに頑張ってみようと思います。
貴重なお話が聞けてとても参考になりました。ありがとうございました!
今後ともよろしくお願いいたします!
※時間の経過上、現在と異なる内容がある場合がございます。ご了承ください。
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